晶子の徒然草
代表が最新情報をお伝えすると共に、毎日に全力を尽くす意味合いや
季節の移ろいなどの想いを月1回配信しています。
6月に入り、紫陽花が見ごろを迎えていますね。実は紫陽花の原産地は日本で、紫陽花の種類はその花の形から2種類に分けられます。一重咲きのシンプルで額縁のように周りにだけ咲くのが「ガクアジサイ」で、日本に自生するもともとの紫陽花です。これに対して、たくさんの花が集まったように見えるのが「西洋アジサイ」で、日本原産の紫陽花がヨーロッパで品質改良が重ねられ、あのような見事な形となり、後に日本に逆輸入されることになったのです。我が家の庭はこだわりの庭師さんが設計されたので、日本原種の植物しか植えてもらえず、先月書きましたようにハナミズキでなく山法師がおり、紫陽花ももちろん西洋アジサイでなく全てガクアジサイです。華々しさには欠けますが、しっとりとした佇まいで、私は気に入っています。
とは言いながら、ちょっと華やかさを求めて、今年の春にこっそり小さな西洋アジサイを植えてみました。根付くか、雰囲気が合うのか、来年が楽しみです。雨に濡れた紫陽花の花が、きらめく雨の中で美しく咲いているのを見ると、雨もいいなと感じさせてくれます。雨の日も晴れの日も、その時々の天気や気候の中で、雨に濡れて輝く草木たちを愛でながら過ごせば、少しは気持ちが明るくなるのではないでしょうか。
そんな風情ある6月ですが、6月1日を「氷の朔日(ついたち)」と呼び、氷餅やあられなどを食べる風習があるそうです。この場合の6月1日は旧暦で、現在の暦でいうと7月初旬頃にあたり、その暑い時期にかつては氷室を開いていました。氷室は土の中に穴を掘り、草を敷いた上に氷を置き、茅などで覆って冬の氷を保存する場所で、冷蔵庫のない時代でも暑い夏に冬の氷を冷たく味わえる先人の素晴らしい知恵です。一年中氷が楽しめる現在でも日本国内に氷室があり、伝統的な技術で氷が作られています。その歴史は古く日本書紀にも登場するほど昔から存在していたとのこと。かつての宮中では氷室に保存していた氷を食べる「氷室の節会(ひむろのせちえ)」という行事が行われていたそうで、言葉の響きだけでも涼しげで趣を感じさせられます。まさに風雅を楽しむといったところでしょうか。
江戸時代になると各地の大名が宮中や将軍家に氷室の氷を献上するようになりました。もちろん貴重なものなので身分の高い人しか口にできません。庶民たちは氷の代わりに氷餅やその氷餅を砕いて煎って作るあられなど歯ごたえのあるものを食べていたことから、氷の朔日に氷餅やあられを食べる風習が残っているのです。
氷餅(こおりもち)とは、餅を水に浸して凍らせたものを寒風に晒して乾燥させた保存食のことで、別名は干し餅(ほしもち)、凍み餅(しみもち)、凍み氷(しみごおり)と言われていますが、各地の生産量は減少の一途を辿っており、私たちも今ではほとんど見かけることがありません。
氷のように固い氷餅を食べて暑さを忘れるという意味のほか、1年を2期に考えると6月は第二の正月という意識があったとも言われていることから、正月を象徴する氷や餅を食べることで旧暦6月(現在の7月)の炎暑の頃に再び正月を迎えるという意味も含まれていたそうです。半年の区切りで年を改め、再生や新生を願い、清めの意味などもあったのでしょうか。今では暦法で正月は一度だけですが、かつての日本人は「節供」という区切りを大切にしながら、この時期に二度目のお正月を迎え、心新たに一年を折り返していたのかも知れません。
2018年を迎えてからもうすぐ半年がたつのだと思うと時間の流れの早さにおどろくばかりです。弊社も半年に一度、社員それぞれが自分自身を見直して、期初に立ち返り半年を猛反省し、後の半年に明るく元気よく猛ダッシュすることになっています。(現実は違うかもしれませんが((+_+))。
氷の朔日の意味を知ったからには、残りの半年を有意義に過ごしたいものです。確定申告が終了した落ち着いた時期であるからこそ、新たな気持ちで全てに全力投球していかなければと自分を叱咤激励しております。
氷の朔日を楽しむには、身近なところでは大阪の難波神社で氷の朔日に合わせて7月20日と21日に「氷室祭」が開催される予定です。奉納された氷柱が供えられ、夕方には参拝者へ「夏負けしない」と言われるかちわり氷を授与されるそうです。現在ではどこの家庭にも冷蔵庫があるので氷は貴重品ではなくなってしまいましたが、「夏負けしない氷」であるならば是非いただいてみたいものです。
晴れた日と雨の日の気温差が大きく体調管理が難しい時期ですが、梅雨明けにしっかり夏を満喫するための英気を養うには、今のうちに美味しい野菜をいっぱい食べ、良いお酒を少し嗜むことが一番に思えます。皆様が恵みの雨で、健やかに安らかにお過ごしくださいますようお祈りいたしております。