晶子レター
代表が最新情報をお伝えすると共に、毎日に全力を尽くす意味合いや
季節の移ろいなどの想いを月1回配信しています。
新春と夏に挟まれた梅雨の季節、曇天と青空が交互に訪れ徐々に夏の近づきを感じます。どんよりとした天気ではテンション満開とはいきませんが、梅雨の今しか味わえない美しい花々が私たちを楽しませてくれます。雨の中できらめいている花の姿はほかの季節とは異なり、嫋やかな中にも日本人の凛とした佇まいを彷彿させます。古来より、その姿に心動かされた人々が俳句や文学作品の中で美しい日本語を通して、その感動を表現してきました。
「薄月夜 花くちなしの 匂いけり」という正岡子規の一句は、雨雲が多く月も薄れてしまう夜に、ふと梔子の花の姿ではなく香りを感じたというところに情感が溢れています。この句のように目にうつるものにだけでなく、五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚をいい、人間の感覚の総称)を通じ、つまり目・耳・舌・鼻・皮膚を通して日本ならではの季節を感じ、心地よくこの季節を過ごしたいものです。この五感の感度を高めると物事の本質を直観的に感じとる心の働き、つまり勘やインスピレーションのようなものである第六感が鋭くなるそうです。直感が働くようになると、仕事もプライベートも正しい判断がしやすくなり、良い運を引き寄せることが可能となるといわれており、私の尊敬する大師匠の飯塚毅博士も直観力を鍛えろとおっしゃっています。まず五感を磨くために、“何気なく”行動するのではなく、“意識して丁寧に”見たり、聴いたり、味わったり、感じたりしてください。そして「意識して行動すれば、いつかそれが習慣となり人格が備わり、運命が変わる」ことになると信じています。ウィリアム・ジェームスの名言ですが、弊社の社訓となっております。
さて、春から夏にかけては山菜が旬の季節でもあります。ふきのとうが春を告げ、実に様々な山菜が次々と芽を出します。たらの芽、行者にんにく、山うど、こしあぶらなど思いつくだけでも次々と名前が出てきます。山菜料理ほど、日本酒にあうものはなく、いつもこの時期は秋田や山形にセミナーで呼んで頂き、美味しいとれたての山菜を沢山食べて幸せいっぱいになるのですが、今年は残念ながら5月6月の秋田と山形のセミナーが中止になりました。そこで、困っている事業者を応援するという名目で山菜料理のお重箱を頼んでみました。私はクセになるようなほろ苦さは好きですがアクの強さが苦手です。このお重箱はお料理上手で苦みや春の清々しさは溢れているのに、アクもエグミもなくおかげさまでとても美味しい晩餐会をステイホームですることができました。よく知っている山菜としてはぜんまい、わらび、うどなどが、食べたことない山菜としては、あいこ、くわだい、しどけなどがありました。調理方法もお浸し、胡麻和え、辛子和え、クルミあえ、みそ和え、田舎煮などの様々な種類があり、山菜料理の奥深さにびっくりしています。
山菜は山や野原に自生している植物の中で食用できるものの総称ですが、日本人は縄文時代にはすでに山菜を食べていたと考えられおり、昔から人々の生活を助けていた食材であり、日本最古の歌集である万葉集にも様々な山菜が登場します。私のオススメは「こごみ」と「うるい」です。こごみはクサソテツの若芽で一般的にはこれを青こごみといい、その中で茎の部分が赤いものを赤こごみといいます。うるいはオオバギボウシというユリ科の植物の若い芽で、葉が完全に開かず丸まっている若芽の時期に収穫していただく食材です。どちらもアクやにおいが少なく、下準備の手間がかからない山菜で、全国で収穫できるため山菜の中ではとても身近な食材です。私は揚げ物が苦手なので、軽くゆでたものを和え物やお浸しにして独特のヌメリを楽しみながらいただくのが大好きです。最近はデパートやスーパーでも販売しており、こごみやうるいに含まれる食物繊維のおかげで腸がスッキリ、カリウムで塩分バランスとむくみ改善に効果があり、非常に簡便で満足できる山菜です。
まだまだ見えないウィルスとの闘いは続き、長期戦の様相を呈していますが、今私たちが出来るマスク、手洗い、うがいを続けていけば、必ずトンネルを脱出することができると信じております。美味しい山菜と雨にきらめく花たちに元気をもらい、明るい未来をご一緒したいと願っています。