晶子レター
代表が最新情報をお伝えすると共に、毎日に全力を尽くす意味合いや
季節の移ろいなどの想いを月1回配信しています。
新緑が深まり、木々にとっては嬉しい恵みの雨の季節となりました。例年は沖縄から始まる梅雨入りですが、今年は九州南部の方が先に梅雨入りをし、沖縄の方が後になるのは1976年以来49年ぶりです。関西でも梅雨に入って曇天が続き、日常生活においてはじめじめと気分が晴れませんが、雨できらきらしている紫陽花やぐんぐん伸びるユリを見て元気をもらっています。そうそう、我が家のヤマボウシが3年ぶりに、通り行く人にも振り向いてもらえるほど満開になり、ようやくヤマボウシに気持ちが通じたのだと、とても嬉しいです。
さて先日、人込みを避けて移動できるため茨木市からの山間の裏道を通って、亀岡の湯の花温泉に出かけました。山の緑の木々の間に藤の花が咲いており、その薄紫の可憐な姿に思わず見とれてしまいました。藤の花言葉は「陶酔」「優しさ」「尽きることがない」とされており、奈良や平安時代から和歌に詠まれ、また絵巻や屏風絵にも描かれてきました。垂れ下がる花房のやわらかさや風にそよぐ姿は、優雅さや艶やかさを象徴しています。日本では古来より繊細な雰囲気の藤は女性に、幹が太くどっしりとした様子の松は男性に例えられ、藤と松を近くに植える風習がありました。生命力は旺盛ですが、つる性植物のため自立できない藤は松の木に巻きつくように伸び締め付けていくため、魔性の女性の執念を表わしているようで「一度捕まえたら決して離れない」という花言葉も生まれたようです。現代女性に相応しい喩えとは思えませんが、、
私が綺麗と藤を見つめていると、運転している娘にちょっと怖い話を教えてもらいました。見た目は嫋やかな藤蔓ですが、他の木に巻き付くと絡みつきながらどんどん上へと大蛇が巻きついたような姿で成長します。その蔓が木を締め付け、光合成を妨げ、栄養や水分を奪うため、絡まった木が枯れてしまうのです。飛鳥時代の中臣鎌足が曽我氏を討伐し、天智天皇から「藤原」の姓を賜ったことから始まった藤原氏が天皇を支える勢力を築き上げる中、紀氏や橘氏を滅ぼしたように、山々に自生する藤は植林した木々を枯らせているのです。昔、里山が管理されていた時代には、厄介者として藤の枝は切り落されていましたが、今は管理していないので、藤が勢力をつけ咲き誇っているのですね。
何も知らなければ凛とした藤なのに、山が荒れている証拠だと思うと複雑な気持ちです。藤棚などきちんと管理されている藤の花は、本当に美しく華麗です。栄華を誇った藤原氏ゆかりの家紋ともなった花で、私の大好きな薄紫色の藤。今年も私は薄紫の服を着て仕事をし、元気に梅雨を乗り越えます。
さて、相続税申告を依頼されるとき、たまに相続人同士が揉めている場合があります。そのときの注意点の一つが、小規模宅地等の特例について複数の候補地があり、限度面積を超える場合にはどの宅地を特例対象にするか、土地の取得者全員の間で同意が必要であることです。場合によっては、それぞれ別の税理士にそれぞれ申告を依頼されることもあり、選択同意書を添付できないことにもなりかねません。この場合には、土地の遺産分割が行われていたとしても、双方の合意に基づく選択同意書がない場合には小規模宅地等の特例は受けられないことになります。もめる原因は相続税の総額が安くなることではなく、土地取得者それぞれが自分の税額を安くしたいと思うからです。例えば、長男の取得した330㎡の自宅に適用した方が相続税の総額が安くなったとしても、長女の税額のみを考えると長女の取得した200㎡の賃貸用建物の敷地に適用したほうが安くなるからです。遺産分割をする際には、この小規模宅地の特例をどの宅地で選択するかを含めて合意しなければ、相続税の最大の減税措置であるこの特例を適用することができなくなるので、注意が必要です。
梅雨は万物にとって自然の恵みとなり、しとしと降る雨音はリラックス効果をもたらし、湿度が高いためお肌の乾燥を防ぎ潤いを与えてくれます。また、空気中の埃や塵も洗い流され空気が浄化されます。そう思えば、自然にとっても私達にとっても必要不可欠な時期といえますから、睡眠と栄養をしっかりとりさえすれば体調も万全でしょう。雨に輝く緑や色彩を楽しみながら、梅雨をも楽しんで明るく元気にお過ごしくださいませ。