晶子の徒然草
代表が最新情報をお伝えすると共に、毎日に全力を尽くす意味合いや
季節の移ろいなどの想いを月1回配信しています。
晴れ渡った青空に吹き渡る風が青葉の香りを運んで来る季節となり、爽やかな5月の風に誘われて、先日、昼食を兼ねて北浜まで散歩に出かけてきました。北浜に向かう途中の中之島公園にはバラ公園があり、公園中央に東西約500m、面積約13,000平方メートルにわたり、約310品種、およそ3,700株のバラが咲き誇ります。見ごろは5月中旬から6月とのこと。このスクラップが皆様のお手元に届く頃には公園が華やかになっているかと思うと、今から楽しみです。
皆様も、お天気の良い時に、是非一度行かれてはいかかでしょうか(*^_^*)
さて、世界中には無数の植物がありますが、単一植物だけでトータルな庭を造ろうとしたら、それができるのは、おそらくバラだけではないでしょうか。バラには、頭上を覆うように伸びるクライミングローズ、垣根を造るルゴサなどのオールドローズ、背景を造る背の高いバラや、柱に沿って伸びていくバラ、足元を飾るために適した小型のバラなど、数限りない品種が存在するからです。
この園芸植物となっているバラは野生種8種を先祖とし、それらの交配等で生まれたものだそうです。原種のバラは大半が5枚花弁の一重であるため自家受粉が容易で、昆虫をひきつけるための香りや色を有しており、略奪者から身を守るためのトゲを兼備するなど、悪条件下でも単独で生き続けられる特性がありました。その後、世界レベルで無数の人々が理想のバラを求め続け品種改良を重ねていきます。なぜなら、一つは、バラの花が極めて高貴な美しさを持っていたこと。二つ目は、香りが素晴らしく香水やバラ水づくりに使われたからです。(私もバラの香り、大好き!!)
紀元前、発祥の地ユーラシア大陸からギリシャ、ローマに渡り、ローマ帝国の衰退により中東に戻り、再び十字軍によって西欧に持ち込まれました。15~16世紀からはオランダで、18世紀になるとフランスにおいて,同時期に英国でもバラ栽培は盛んになり、東洋進出の本格化に伴い西欧にチャイナローズが伝わり、バラの世界に画期的な変革がありました。
チャイナローズは、紀元前のはるか昔から中国で栽培されており、その特徴である四季咲き、剣弁高芯咲き、ティーの香りの遺伝子が、それまでの西欧のバラの世界に浸透していきました。その結果、四季咲き性のバラが次々と生まれ、今日のオールドローズの基本が確立しました。さらに、幕末の開国と共に、日本のイノバラやテリハノイバラなどが西欧に渡り、バラの世界に、小輪房咲き、強健さなどの特性(まさに大和魂)が加わり、さまざまな品種が生まれていったのです。
19世紀後半には、従来と概念の異なる画期的なモダンローズ、四季咲きの大輪一輪咲きの品種(ハイブリッドティー)が誕生し、現代バラの切り花一輪咲きは大半がこの系統になります。長い間、先人たちが理想のバラを求めて交配を繰り返した結果、このハイブリッドティーローズが誕生したのです。さらに、20世紀を迎えてバラはいよいよ大衆化し、花色や花形を豊富に華麗にするため、いっそう品種改良が進みました。
しかし、20世紀後半になると、ビビッドカラーや巨大輪までも生まれたモダンローズに対して、欧州でソフトカラーのロゼット形の花や香り、自然な樹形を特徴とするオールドローズの評価が高まってきました。日本においても、庭やベランダで一年中草花を楽しむガーデニングが盛んになり、ナチュラルなたたずまいを見せるクラシックローズが注目されています。
振り返ると、バラの歴史は文明の成熟とともに歩んでおり、私達のバラを愛する気持ちそのものが現代の時代を反映しているのかも知れません。バラの歴史は人間の美を追求する歴史の一端を担ってきたと考えられ、バラを楽しむ私達も、この美の歴史に参加しているのではないでしょうか。
このように、バラは古代から繁栄と愛の象徴として愛されてきました。神話で愛と美の女神アフロディーテが海から誕生した時に、大地がアフロディーテに負けぬものとしてバラの花を作ったとして、ギリシャ時代にバラはアフロディーテの愛と美を大地で表す花とされ、花嫁が結婚式にバラの花束を持つ西欧における風習につながったそうです。
また、古代エジプト最後の女王クレオパトラは絶世の美女として後世に伝えられているだけでなく、バラの香りを好んだと言われ、バラにまつわる数々のエピソードが残されており、バラの香りで男性を魅了したといわれています。またクレオパトラとほぼ同じ時代の博物学者、ガイウスが西暦76年に著した『博物誌』の中で、浴槽にバラの花を満たしたバラ風呂により肉体を若々しく保ったと書いており、アンチエイジング効果だけでなく、胃痛、歯痛、不眠症、傷、炎症など32種類の症状の治療に薔薇が有効だということも論じられています。さらに近代ではバラには、さまざまな芳香分子が存在し、それが薬効の元であることが、科学的に立証され、バラの効能が伝説や迷信ではないということが解ってきました。実は私、ホワイトデーのお返しに入浴用の高級バラを頂きました。そのおかげで、今年も元気で若く、確定申告期を乗り越えられたのでしょうか(*^_^*)
新緑に太陽の光がキラキラ反射して、吹く風も夏めいて参りました。皆様の心も明るく晴れやかではないでしょうか。心身共にバラ色にお過ごし下さいますよう、お祈り申し上げます。