10月になり陽が沈むのが早くなり、一雨通り過ぎるとすっかり秋の気配が濃くなってまいりました。スーパーブルームーンに引き続き、先月お知らせしました9月29日の中秋の名月もうっとりするほど綺麗でした。月は古くから多くの和歌にも詠まれて親しまれており、伊達政宗の辞世の句も「曇りなき心の月を先立てて浮世の闇を照らしてぞ行く」と言われています。月の光を頼りに先へ進むかのごとく、曇りなき自分の信念を頼りに先のわからない闇につつまれたこの世の中を、ひたすらに歩いてきたものだ。という意味でしょうか。夏目漱石も“I love you.”を「月が綺麗ですね」と訳したとか言われており、照屋さんのほほえましい大和魂を感じます。このように、日本人は昔から月を眺め楽しいことや心の秘め事などに思いを馳せ、心の拠り所にしています。

　さて、月と夜空は黄色と黒、黄色と黒といえばそう、トラがシンボルの「阪神タイガース」。先日阪神タイガースが実に18年ぶりに6度目のリーグ優勝を果たしました！私の父はパリーグは南海フォークス、セリーグは阪神タイガースのファンでしたが、南海球団が消えてからは虎オンリーでした。その影響で私も小さなころから虎ファンで、優勝のニュースに喜んで騒いでおりますと、何故かスタッフに意外だと言われました。パ・リーグではオリックスが優勝し、関西の球団が両リーグを制覇するのは1964年のわが父の愛した阪神と南海以来59年ぶり。この時、父はどちらを応援したのか、今となっては思い出せませんが、今年の神無月は両球団の華麗なるプレーを楽しみにしています。

　9月、10月になればあちこちで運動会が開催されていますが、かっては体育の日に運動会を行うという学校がほとんどでした。元々「体育の日」というのは、1964年の東京オリンピックの開会式のあった10月10日を記念して、スポーツに親しみ、健康的な心身を培うことを目的に1966年に制定された国民の祝日です。その後、週末と合わせて3連休になるように一部の祝日を移動させる改正祝日法が2000年に制定され、10月の第2月曜日となりました。そして2020年の東京オリンピックの開催に合わせて、スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願うことを趣旨とする「スポーツの日」へと名称が変更されました。体育という言葉は学校の授業のイメージや教育的な意味合いが強いため、純粋に運動を楽しむことを目的とするために、スポーツという言葉に変更されたそうです。幼いころから慣れ親しんできたためか、私は10月10日＝体育の日という言い方が好きです。

　しかし驚いたことに、体育の日は1966年に休日になる前はスポーツの日だったのです。スポーツ振興法に基づき、1961年に10月の第1土曜日が「スポーツの日」と定められました。当時は祝日ではなかったのですが、5年後に祝日の体育の日へと変更になり、再びスポーツの日となり今に至ります。本当に不思議な変遷で、この改正の歴史を知った時は思わず笑ってしまいました。

　いよいよ、令和6年度税制改正の要望が金融庁や厚生労働省、経済産業省、国土交通省等、各省庁から出されてきました。改正要望事項をいくつか取り上げてみますと、NISAの利便性向上、上場株式の相続税に係る物納要件の見直し、生命保険料控除制度の拡充、死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ、金融所得課税の一体化、交際費課税の特例措置の拡充・延長、法人版及び個人版事業承継税制の見直し・延長、ストックオプション税制の拡充、賃上げ促進税制の拡充・延長、中小企業者の少額減価償却資産の損金算入など、要望するのは自由とばかり目白押しに減税案が並んでいます。もちろん社会保障制度に関する支出が増大する一方の財政状態ですから、大半は認められないと思われます。収入の範囲内で支出をコントロールするプライマリーバランスを実現できる理想的な財政状態に戻してから、将来の世代に日本を引き継がせたいものです。

　すっかり秋らしく涼しくなり朝晩は長袖がいいなと思い、急に秋物への衣替えに追われていますが、ブドウ、カキ、ナシ等、果物が美味しい季節です。和栗も最盛期を迎え、栗ご飯、モンブラン、ゆで栗、と美味しい食べ方が満載。なかでも、日本産の栗と天津甘栗に用いられる中国栗とを掛け合わせて生み出された黒く立派な利平栗が私は大好きです。

　非常に手間がかかりますが、渋皮煮にして頂くと至福の秋の幸せを感じます。しっかり秋の味覚を味わいつつ快適に体を動かし、明るく元気にそれぞれの秋をお楽しみください。