晶子レター
代表が最新情報をお伝えすると共に、毎日に全力を尽くす意味合いや
季節の移ろいなどの想いを月1回配信しています。
今年も地球温暖化現象を表すかのように9月も30度越えの暑さが続きましたが、10月に入りすっかり秋の気配が漂う朝晩となってまいりました。庭ではまだバラが順次咲いており、他に白とピンクの小さく可愛い星形のペンタスも暑さを乗り越え咲き誇っています。花言葉はその形から“流れ星に願い事をすれば叶う”という言い伝えにちなんで「願い事」「希望が叶う」とつけられており、なんともロマンチックです。花を見ていると季節の移ろいを感じます。
この10月といえば新米の季節ですが、新米といえば酒米が浮かんできて、そろそろ日本酒の仕込みの準備が始まると思ってしまう私です^^日本酒の原料である酒米には「酒造好適米」と呼ばれる酒造りに適した特性を持つお米が用いられており、食べておいしいコシヒカリや新之助などの食用米で作る日本酒はおいしくありません。酒米の一粒は通常米よりとても大きくて張りがあり、たんぱく質や脂質が少なく、米の中心に白く濁ったように見える心白(しんぱく)と呼ばれる部分があり、この心白は柔らかく、吸水時に生じた亀裂から内部へと麹菌が入り込むため菌が繁殖しやすくなっています。また、たんぱく質や脂質は食べるとアミノ酸に分解され美味しく感じますが、日本酒造りでは雑味の原因になるので不向きです。なお、酒造りにおいて最も重要とされる工程は米を水に浸ける「浸漬(しんせき)」で、米の吸水率が蒸米の仕上がり、ひいては酒の仕上がりを大きく左右します。だから、酒米のように心白があり、タンパク質の含有量が少ない米は吸水性がよく日本酒造りに適しているのです。
私の大好きな酒米は王道の山田錦ですが、他にも雄町、五百万石、亀の尾、美山錦、八反錦、愛山、千本錦、白鶴錦、酒未来などたくさんの品種銘柄があります。米の違いで大きくお酒の味が変わるのには、本当に驚きました。日本酒を飲む時には米の違いも意識して味わってみてはいかがでしょうか。
9月29日、近畿で造られた清酒の出来栄えを審査する「令和5年度大阪国税局清酒鑑評会」が結審しました。食品なので厚生労働省と思いがちですが、お酒は国税庁の管轄です。なぜかというと、それは税の歴史とお酒は切っても切れない関係にあるからです。鎌倉時代、社会に害悪をもたらすとして幕府は当初酒類の売買を禁止していましたが、年貢以外の収入源を確保したかったため「壺銭(つぼせん)」を発布し、造り酒屋の酒壺の数をもとに税を課すことにし、これが日本における酒税の始まりとなっています。また酒税は明治時代には国税の中心であり、一時は国税の税収第1位だったこともありました。
日本酒は、秋に収穫された米を使って気温が低く雑菌が繁殖しにくい冬に製造し、春から夏にかけて熟成させて出荷されます。日本の四季と結びつき、貴重な米から作られる特別な飲料として、また日本の伝統文化や神聖な儀式や神事に欠かせない存在なのです。国税庁は過去の税収の多さや税と酒の深い関係の歴史や文化を背景に、酒税収入の確保だけではなく、酒類業の健全な発展を目標に製造や販売について免許を管理しており、なんと、税理士試験の科目の一つに酒税法もあるくらいです。さすが、日本の誇る日本酒、文化と経済、そして国家予算などの多方面から日本を支えているのです。
さて、岸田政権の退陣により石破政権が誕生し新体制に入りましたが、どのような施策を取り、どう予算を組み、どのような税制改正が行われるのか、事業承継税制や金融税制はどうなるのか、総選挙後の動向に目を離せません。
10月に入り梨や柿、マッタケなど秋の味覚をたくさん目にするようになりました。おいしい秋の味覚を楽しみつつ、透明感のある秋空に煌めく星や名月を愛でながら、明るく元気にお過ごしください。